SAAはどうやって生まれたのか??

「SAA(Sleep Activity Assessment)技術はどうやって生まれたのですか?」と質問いただくことが増えてきました。 また、それと同じくらい「増田さんはAIエンジニアかと思ってました!」と言われることも多いです。

私は、AIスペシャリストでもシステムエンジニアでもありませんでして、作業療法士(リハビリテーションの専門職)として、18年間臨床経験を重ねてきた医療従事者です。

NTTドコモのAIスペシャリストである熊川さんと二人三脚で研究開発に取り組んできまして、AIの話をする時はもっぱら熊川さんの言葉を借りて熱く語っております。
(信頼する熊川さんの言葉なので、ついつい自信満々に語ってしまっているので、勘違いさせてしまっているかもしれません 笑)
共同論文はこちら

 

『SAA技術の根幹は作業療法。』

私は作業療法士になって10年が過ぎた2014年頃、患者さんの寝返り動作を見るだけでその患者さんが歩けるのかどうか分かるようになりました。これは超能力でも何でもなくて、しっかりと経験を積んだセラピストであれば可能なことです。

臨床経験を重ねれば重ねるほどに、自分の頭の中で患者さんの様々な情報がきれいにパターン化されて収納されていく感じがありました。
睡眠中も人は活動(心臓が動き、呼吸をし、寝返りなど)しており、睡眠中の活動能力は日中の運動能力・認知能力と相関があると経験上の確信がありました。
この仮説が正しければ、AI技術やICT技術を使えば、自分の技術を世界中に広げることができるなー、とぼんやり考えはじめました。

近い将来に『リハビリテーション×AI』の研究開発をしようと決意したのもこの頃で、AI技術を一般人に向けて解説した本を買って少しづつ学習していました。(専門書に手が出るほど学習は進みませんでしたけど、、)

 

『SAA発案の起爆剤は最先端の睡眠センサーを体感したこと。』

2018年の医療機器展示会にて、睡眠センサーがいとも簡単に、驚くほど正確に私を測定した時、
ビリビリ―!!!とイナズマが走りました。それから一週間は頭がカッカ、カッカしてほとんど寝れず、あと少しで何かが生まれる感覚がありました。そして、週末の誰もいないオフィスで、ピカーン!!!ともう一度イナズマが光り、ほんの数十分でAIの仮説をまとめる(インプットデータ、アウトプットデータ、教師データを整理して図式化する)ことができました。

その時生まれたのが「睡眠中の心拍数、呼吸数、体動から運動能力と認知能力をAIで推定する」SAAシステムです。

 

『リハビリテーションの可能性が無限大に広がったことが何よりもうれしい!』

2018年に立てた仮説は、今もほぼ変更されることなくAI学習モデルの根幹になっています。また新たな発明として特許取得もできました。

たくさんの患者さんから得られた経験と作業療法学が掛け合わさって一つの『かたち』にできたこと、さらに世界中の人々にその成果を還元できる可能性が高まっていることは、とても感慨深いものがあります。

リハビリテーションはほんの数年前まで対面でのみで提供される医療サービスでした。それがテクノロジーと掛け合わせることで、いつでも、どこでも、全世界の人に、個別性の高いリハビリテーションを定量的に提供することが可能となり、大きな進歩を遂げようとしています!

ワクワクが止まりません!

世界中の人々の健康な未来のために、コツコツ加速し続けます!!!

Rehabilitation3.0株式会社 代表取締役 作業療法士 増田浩和